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裁量免責とは?

ギャンブルや浪費をしてしまった場合に免責を受けることができるか。

不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。 破産法は、免責不許可事由の存否について審理がなされた結果、当該事由がない限り、免責を許可する旨規定しており、その免責不許可事由については、252条1項各号に列挙されています。

それらは、

①破産債権者を実質的に害する行為類型(1~6号)、

②破産手続の円滑な進行を阻害する行為類型(7~9、11号)、

③政策的理由に基づく事由(10号)

により構成されており、詳しくは実際に条文に当たっていただければと思いますが、特に皆様にとって該当することが多いのは、冒頭で申し上げたとおり、ギャンブルや浪費でしょう。 すなわち、破産法は、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」(4号)を免責不許可事由としています。

具体的に、どのような行為がこれに該当するのでしょうか。判例を見てみましょう。

①「抗告人が自己破産を申し立て破産手続開始決定がなされるに至った根本原因は、抗告人が競馬・競艇賭博に熱中し、これに要する資金をサラ金業者から自己の返済能力を顧みずに借り受けたことにあり、抗告人の右行為は本条1項4号に当たる。」(東京高決昭和61年5月28日)

②「抗告人が過大な債務を負担することとなったのは、安易な方法でサラ金業者から融資を受け続けたこと自体によるものと言うべきであって、競艇等の射幸行為はそのひとつの遠因に過ぎないから、これをもって射幸行為によって過大な債務を負担したものということはできず、本条1項4号所定の免責不許可事由には該当しない。」(東京高決昭和60年11月28日)

いずれも、競艇等の賭博行為を問題視されて免責不許可決定がなされたため、高裁に即時抗告をした事案です。①では免責不許可事由に該当するとの判断がなされたのに対し、②では、競艇は債務増大の要因の一つに過ぎないとの判断から、免責不許可事由には該当しないとの判断がなされています。 余談ですが、一般に、免責不許可決定がなされる確率は極めて低いといえます。

免責不許可決定が出る前に裁判所から示唆があり自主的に取り下げる案件が一定数ありますので、その暗数も計算に入れたとして、免責不許可相当の事案はおよそ2パーセント程度であると言われることがあります。 ですので、他の事件における即時抗告に比して、まだ高裁において結論が覆る可能性は大きいと考えることもできるかと思います(ただし、これに関しては統計を確認したわけではありませんので、あくまでも私見です。)。

いずれにせよここでお伝えしたいのは、上記②の判例のように、ギャンブルをした事実は否定できないとしても、必ずしもそれだけで免責不許可事由であるとされるわけではないということです。すなわち、当該ギャンブル行為が軽微なものに留まる、あるいは債務が膨れ上がった経緯に照らしてやむを得ない、又は当該ギャンブル行為が債務増大に寄与した程度が小さい、といった主張が裁判所に認められるならば、たとえギャンブルや浪費があったとしても、裁量免責を諦めるのはまだ時期尚早ということになります。

シャローム綜合法律事務所では、ご相談者から詳細に事情をお伺いして、たとえ免責不許可相当事由があったとしても、裁判所への説得的な説明により裁量免責の獲得が可能か否かについて丁寧に検討させていただきます。ギャンブルや浪費があったからといって、すぐに諦めないで下さい。