2018/08/23
破産手続における機関としては、裁判所の他、破産管財人、保全管理人、債権者集会、債権者委員会などがあります。
民事再生手続においても管財人は存在しますが、これは任意的なものにとどまります。一方、破産手続においては管財人は必置の期間となります(ただし後述のとおり、同廃事件を除きます。)。 皆さんが破産を検討する際、同廃事件となるか管財事件となるかにつき大きな興味を有することと思われます。裁判所によっても(あるいは裁判官によっても)基準が区々である感は拭えませんが(なお、裁判所より一定の基準は示されています。)、トートロージー的ではありますが、破産管財人をつけて財産の調査をすべきと裁判所が判断した事件が管財事件とされるということになります。
例えば、給与所得者と異なり、個人事業主の場合は、その経済的実体を調査する必要性が高いですので、原則として管財事件となるでしょう。また、不動産を所有している場合には、原則として管財事件となります(もっとも、オーバーローンの場合、1.5倍ルールにより同廃となることはあります。)。 管財事件の場合、裁判所は、破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任します(破産法31条1項柱書、74条1項)。破産管財人の職務は多岐に渡りますが、大雑把に言いますと、破産財団の管理・調査、確定、換価、配当といった一連の流れに沿った管財業務を行うことになります。 破産管財人は、裁判所が選任した弁護士です。
申立人は、申立代理人(破産事件を受任した弁護士です。)と一緒に破産管財人の事務所へ行きます。その際に、申立書記載内容につき質問をされたり、追加で提出が必要な資料の指示等を受けます。(もちろん弁護士によりますが)この時点でこっぴどく叱られたりということはありませんのでご安心下さい。分からないことがありましたら、代理人弁護士がフォローさし上げます。誤解を恐れずにみなさんに分かりやすく申し上げますと、破産管財人は、基本的には裁判所と同じだと思っていただいてもよいかもしれません。
その後、債権者集会までの間、継続して破産管財人が財産調査を行い、不当な出金があった場合にはこれの破産財団への繰り入れを求められたり、あるいは否認権を行使したりして破産財団の増殖に努めます。不動産がある場合にはこれを売却するのも破産管財人の職務です。 管財業務が簡単に終了する場合には、第一回債権者集会で事件終了ということになりますが、複雑な事件の場合には、続行という形になり、二回、三回、と債権者集会が継続することもあります。
以上のように、破産管財人がついた場合、免責を得るまでの間の手続きが多く、また時間的な負担となることは否定できません。また、より切実な問題として、破産管財人へ支払う費用も発生しますので(事案により20万~30万程度を求められます。)、これを捻出できないことには申立自体ができないという事態に陥ってしまいます。
管財事件ではなく同廃事件として申し立てられないかといったご相談にも応じさせていただきますので、お困りの際は当事務所までお問い合わせいただければと思います。