2018/07/24
「自己破産」という言葉があるぐらいですから、債務者自らが破産手続開始の申立権を有していることは明らかです。
しかし、この他にも、破産を申し立てることのできる当事者は存在します。
① 法人の理事・取締役・清算人等による申立を、「準自己破産」といいます(破産法19条)。なお、法人の内部紛争による濫用的申立てを抑止するため、破産手続開始原因の疎明が必要とされています。
② 債権者も、破産手続開始申立権を有します(18条1項)。
この債権者とは、破産手続開始後に「破産債権者」となる者をいいます。債権者が破産手続開始の申立てをするときは、自己の債権の存在と破産手続開始原因事実の存在を疎明しなければなりません(18条2項)。これは、弁済の間接強制目的(「破産手続開始を申立てられたくなければ、早く返済しろ。」という主張のことです。)等による申立権の濫用を排除する趣旨だと解されています。
このように、債権者も破産手続開始申立てをすることができますので、大規模な消費者被害事件の場合などは、加害者である会社の資産散逸を防止し、破産手続のルートで配当を得るべく、債権者申立てがなされることがありますが、そのハードルはなかなかに高いものがあります。
まず、債権者(被害者)は、先に述べた破産手続開始原因事実の存在の疎明しなければなりませんが、当該会社の財務内容につき把握することが困難です。
また、債権者の破産申し立ては、負債額に比例する「予納金」を債権者が立て替えなければなりませんが、多額の負債を抱える会社の予納金は時に高額に上る可能性があり、これを誰が負担するかという問題も発生します。
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