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法律Q&A「取引履歴開示請求とは?」を追加しました

2018/05/02(水)

債務整理を行う際、まず弁護士が債権者(今回は、貸金業者を念頭に置きます。)に対して介入通知を発送しますが、その際、債権調査票の返送と併せて、取引履歴の開示を請求します。

 

利息制限法所定の制限利率に従って引き直し計算をするためには、過去の借入や返済の日付及び金額を把握する必要があるため、この取引履歴開示請求を行うのです。

 

かつては、この取引履歴開示請求に応じない貸金業者もおり、貸金業者に取引履歴開示義務があるのか否かが長く争われていましたが、平成17年7月19日最高裁判所第三小法廷判決が、次のように判示しました。

 

「貸金業法の趣旨に加えて、一般に、債務者は、債務内容を正確に把握できない場合には、弁済計画を立てることが困難となったり、過払金があるのにその返還を請求できないばかりか、更に弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど、大きな不利益を被る可能性があるのに対して、貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易であり、貸金業者に特段の負担は生じないことに鑑みると、貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用に渡ると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うものと解すべきである。」

 

このように、貸金業者の取引履歴開示義務が明確に認められることになりました。

 

これを受けて、貸金業法も改正されることとなり、貸金業法19条の2に明文で取引履歴開示義務が規定されるに至りました。

 

(貸金業法19条の2)

「債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。」

 

ですので、現在では、弁護士からの取引履歴開示請求に対して、貸金業者は原則として応じる姿勢を見せております。また、虚偽の開示をした場合には、登録取り消し又は1年以内の業務停止命令が法律で予定されていますので(49条6号)、素直に応じた方が貸金業者にとってもメリットがあるということになります。

 

なお、弁護士からではなく、債務者本人からの請求に対しても開示は義務ですので、貸金業者はこれを拒むことはできませんが、弁護士からの請求の場合とは異なる様式での資料を送付してきたり(取引履歴には、決まった様式というものがありません。)、あるいは一部しか送付してこないということもあります。十分な情報がないことには、引き直し計算もできませんので、やはり弁護士に依頼されることをお勧めします。

 

余談ですが、最近、業者によっては、「請求が多く、事務手続に相応の期間を必要とするため、今しばらく猶予願いたい」旨の返事がなされることもよくあります。早期の個人破産を予定している場合には、これを待たずに申し立てることもあります。

 

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